なちゅらるはい

映画の感想とか独り言とか

エコール

トラウマ映画ってあると思うんです。誰しも。
私の場合、少女性をモチーフにしたものがだいたいトラウマを刺激したりします。
最近ならヴィオレッタ [DVD]を見たとき。

ヴィオレッタはまたこんど詳しく書くとして、今夜はエコールを見ました。
2004年制作の映画で、原題はInnocence。

深い森にある全寮制のバレエ学校。ここでは6歳〜12歳程の少女が、どこからか棺で運ばれ
またどこかへ去っていく。物語は主人公(?)イリスが棺で運ばれてくるところから始まる。

エコールは今まで何度も見て、何度も気分が悪くなってる映画。
パッケージからしてすごく綺麗なんだけど、なんだろう。都合のいいものを見せられている気がしちゃって気持ち悪くなるんだよね。映像は純粋に綺麗で芸術だと感じるし、時間の流れを感じる作りになってる。

森の緑、夜の闇、制服の白、制服から覗く肌の色
棺で運ばれてくる少女、全寮制のバレエ学校、たくさんのルール
教えられるのは自然の摂理とバレエだけ
そこらじゅうに散りばめられた生と死、原罪のモチーフ

純粋培養の中で育つ少女たちは、鳥籠の鳥や、蝶の剥製のような、誰かにとって都合のいいコレクションみたい。というか量産された少女とも言える気がする。

私がこの映画を見て気持ち悪くなるのは、幼い女の子が、見えない観客の前で踊ってお金を儲けるからとか、自由のない閉鎖された世界とか、そういうことじゃなくて。自覚のなさだと思うの。

男の人はどうかわからないんだけど、少女から女に変わるのはなぜか避けられないし、喪ったり奪われてしまうものなんだよね。自分の意思で選んで変わるわけじゃなくて、成す術もなく変わるの。それで突然少女特有の美しさとか尊さを奪われてただの女になる。普通に生きてる私はそれを自分で学んでいくことができる。だけど、この映画の少女たちは何も知らない、知らされない。だから純粋無垢のまま。でもそれは人の手で作られたもの。いつか消費されるためのもの。だから少女たちはある日突然、学校の外に出て喪うことで気づく。

まとまらないからこのへんで。それにしても、イリスよりもアリスよりも、ビアンカが美しすぎたし、とても哀しかったな。「美しい」と初めて男の人に声をかけられて、その人が残した薔薇と手袋を持ち帰って自慰をするのも、罪悪感だとか喪失感(なのかな)で水に投げ入れるのも、最後のシーンで男の人と噴水で水遊びしちゃうのも。全部が綺麗で悲しくなったよね。

エコールはたびたびミネハハ 秘密の森の少女たち [DVD]と比べられることがあるけど、ミネハハの方が私はしっくりくるかな。でもエコールがいい映画なのは間違いないのです。美しくて哀しい消費される少女のお話でした。